電子テキスト入門

電子テキストの特徴

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電子テキストは、デジタル化されたデータそのものです。

そのため、紙媒体に記されたテキストと異なり、情報として固定化されてはいません。これが一番の特徴と言えるでしょう。

そのため、従来の紙媒体上のテキストでは考えられなかった柔軟性を持っています。

ここでは電子テキストのプラス方面の特徴について書いてみました。

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確実な情報交換

送り手と受け手が同じ文字集合を用いているならば、確実に情報交換が可能です。仮にエンコーディングスキームが違っていて文字が化けたとしても、変換式を用いて機械的に相互変換です。変換専門のアプリケーションソフトもありますし、テキストエディタで動的にエンコードを指定し直して読み直す事もできます。

優れた可搬性

通常のFD一枚(1457664バイト)。一文字2バイトで換算すると、原稿用紙1823枚分のデータが格納可能です。この位の分量だと、新書2~3冊程度にはなるかと思います。DVD-Rの場合は、23億5千万字のデータが入ります。

これが映像だとDVD-R(4.7GB換算)の場合、ましな画質で二時間が限界です。音声でも、MP3の様な圧縮音楽なら1000曲は入るでしょうが、圧縮をかけないデータでは4~5時間位と言った所でしょうか。

このように、電子テキストは少ない容量で多くの情報を持ち運ぶ事ができるという特徴があります。

データの改変、公開が容易

電子テキストは、一文字二文字の改編のみならず、段落の入れ替えなどの大幅なデータ修正も簡単にできます。

元のデータを二次的に利用する事も珍しくありません。とりあえず必要なテキストを入力しておいて、必要に応じて使い分けるという行為は今では当たり前になってきていると言えるでしょう。

加えて、作成したデジタルデータをそのままインターネットなどで公開する事も簡単にできます(「公開と言う行為」が容易に可能)。

これが費用と部数の制約が常につきまとう紙媒体との違いと言えるでしょう 。最近では、組み版ソフトも普及してきたため、個人レベルで印刷版下・もしくはデジタルデータでの版下を印刷する事により、活字時代に比べてコストを抑え、完成までの時間を短縮した印刷物も多く出てくるようになりました。

データの改編・公開が容易であるという電子テキストの特徴は、インターネット上に溢れる情報量の多さという点からも了解されるでしょう。オリジナルの情報があっという間にコピーされて広がり、またそこにちょっとした改編を加えて誕生した膨大なバリエーションの情報…。ちょっと調べるだけでもこの類の事例には事欠かないかと思います。

それこそ、サーチエンジンで集めた情報を適当にそれらしく加工してレポートの一丁上がり! なんてのも今では珍しくありません。

この容易さこそが電子テキストのメリットでもあり、デメリットでもあるのです。デメリットについては別に書いてありますのでそちらを見て下さい。まあ、これは電子テキストというよりも、インターネット上に溢れる情報やデジタルデータ全般の特徴と言った方がよいのでしょうが、今は情報を自ら選別して租借する能力を鍛える必要が求められていると言っても良いでしょう。

データの検索が容易

従来、語句の用例や語源の検索をしたい場合、索引や辞書を活用してきました。しかし、索引や辞書籍が「完全」に語彙を網羅している保証は ありません。用例を取りこぼしている場合もありますし、あまりに用例が多い場合はその語彙を収録しない場合もあります。そのため、時には必要な用例を見いだせない場合も起こるわけです。

しかし、電子テキストは、「理論的」に検索漏れを起こす事はありません。但し、その場合は「信頼できる」テキストデータを構築する必要 があります。「信頼できる」テキストとは、目的とするテキストを「間違えずに」入力する事はもちろんですが、場合によっては異体字などを統一 したり、一定の校訂を施すなどしてテキストの質を上げる必要があります。

電子テキストを利用した検索は、手作業とは比べ物にならない検索速度 を誇ります。また、複数テキストファイルを同時に検索する事も可能です。そのため、単なるテキストの総体が、検索機能を使う事で辞書・叢書・類書等に化ける可能性を持っているのです。

従来は典拠の探索だけで時間がとられていましたが、電子テキストの利用でこういった単純作業を省力化し、検索結果を読み込んで、いかに分析するかに重点が置かれるようになってきました。


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