絨毯屋にて
絨毯屋にて
買い物が終わるとこんな感じになる。

 

 

◎続いて絨毯屋

 次は今日のメイン? 絨毯屋である。バザール54という結構大手(らしい)のカッパドキア店に拉致される。最初は絨毯の説明だ。トルコは遊牧の民らしく絨毯が盛んである。しかしペルシア等に比べてマイナーだ。そこで一生懸命最近では宣伝をするようになっている。

 店内に案内されると、最初に作り方の説明がある。織り手のお姉さんがデモをする前で、相変わらず怪しい日本語を駆使するトルコ人が語り出す。上等な絨毯になると完成に八ヶ月はかかるようだ。冬の寒い時期を除くと、一年中絨毯を織っている勘定になる。奥さんが、「私だめ、気力もたない!」 と言っていたが、多分その通りで、三日に一回はそれを言うに違いない。次は染色である。天然染料の宣伝ばっかりしていたが、合間に「最近合成染料ばっかりで、天然物は高級品だけ。」 とさりげなく言っていたのを覚えている。でも高級品ってどの程度だ?

 さあ、次はデモ&販売である。初めにエルマ・チャイ(甘めのアップルティー)を出される。「まさか睡眠薬なんて入っていないよなあ?」 と思う間もなく飲み干すので、奥さんが呆れる。続いてトルコ人の兄さんが、ひっきりなしに絨毯をゴロゴロ広げ出す。「これが反物だったら、ト○ーパーやね。」 と突っ込みを入れる。で、すかさずグループ毎に担当が張り付いて売り込みにかかる。うまいねえ、商売が。初めのうちは広げられた絨毯の上に寝転がったり、「写真はただ」 とばかり、座って撮りまくるなどしていたが、次第に追いつめられる。敵もさるものひっかくものだ。向こうもそんな連中には慣れっこなんだろう。気が付くと奥さんがVIZAのカードを出して購入していた・・・ そんなわけで家には今トルコ絨毯がある。何でも最高級品ヘレケのだそうな。当然互いの実家には内緒である。まず、このページを見ないだろうから書いても平気? だ。

 絨毯を買って、懐はヘロヘロになるが、気分は満足。さあお昼だ。パンフレットには「洞窟レストランで食事!」 と書いてあったので、てっきり昔住んでいた洞窟住居を改造したものかな? と思っていたが、新しく山肌に穴を穿ったもののようだ。テーブルやイスを削り残して使うあたり、やるもんである。中は涼しい。外に出たときすごくまぶしかったが。当時の洞窟住居に居住していた人もそうだったのだろうか? 何故か壁にへたうまな絵が描いてあったが、なかなかに味があって良い。肝心の食事の味であるが、まあそこそこである。基本的にトルコでまずい飯にありついたことがなかった。単に好みがあうだけかもしれないが。 ここで印象に残っているのは、デザートのライスプディングである。これは甘〜いプディングにコメが入っている代物だ。それがミニどんぶり一杯分はある。当然一人分だ。みんな呆れていたが、私は結局食べきってしまった。確かにすご〜く甘いのだが、量が少なくもうちょっと日本人向けにあっさりと作れば、いけるかも。コメは和菓子の食材にもなるが、改めてコメって甘いものとあうねえ、と思った次第である。


◎最後に陶器屋

 昼食後、今度は陶器屋につれて行かれる。ここらは赤地の陶器が特産だそうな。つれて行かれた陶器屋は、見るからに怪しげである。初めに若い兄ちゃんが、これまたお約束の怪しい日本語を操って口上を始める。最初に見せられたのは大皿の制作だ。デモンストレーターのお姉さんが、皿のベースの形をうつぶせにろくろに載せ、形を作っていく。同行者が感心していたが、これは何のことはない。単なる大量生産向けの製作技法である。こちとら愛知県出身なので、この辺りはうるさい。こんなもんを有り難そうに公開するあたり、こっちをなめているとしか思えないが、まあいい。次に絵付けである。「家族でやってます!」 とのふれこみだったが、顔が似ているのでそうなんだろう。ただそれだけ。次に足ろくろで壺を作るのを見せられる。ここでもチャイを出される。しっかり飲んだ。何せさっきの絨毯屋でスッカラカンになったので、どうでも良くなっているのだ。形自体は平凡な壺だが、足ろくろの動いている様を始めてみたので、それなりに勉強になった。ろくろの使い方は日本とどう違うのだろう。

 そして、陶器屋のメイン? 販売である。ざっと見たが、「おい何だ! この絵柄は!」   「下手だぞ!」  こちとら研究が商売である。商売柄陶器に描かれているミニアチュールや伝統模様の写真をよく見る。なんでそれを模写せんかなあ? すさまじく下手だぞ。だれかイスタンブールなりヨーロッパなりに留学にださんのか? これでは買えと言う方が無理である。しかも「高級品の磁器だよん」 という割には、肉厚が陶器の美濃焼のように厚い。やはり磁器たる物、紙のように薄くないとだめである! 値段も米ドルで100ドル以上する。買えるか! そんなもん。また売り子がしつこいんだ、これが。もういいって言っているのに、からむ、つきまとう。最後の方になるといらいらしてきた。オルハン、早いとこ帰せ! これだから結託ってきらいだ! 後日同じ様な物をあちこちで見たが、桁一つ安かったぞ。完全なぼったくりだ。こりゃ。普通産地直売って言ったら、市価より安いのにねえ。もういいや、気分悪くなるし。

 あんまりばかばかしかったので、写真などは撮っていない。


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