【まめ知識】

 エーゲ海沿岸は、その昔ギリシアの植民都市が多かったところで、トルコにはそういった遺跡が数多く残されている。エフェスはその代表的遺跡の一つ。
 他にもペルガモン等が有名。

 

 

音楽堂
音楽堂

 

庶民のアゴラを遠望
庶民のアゴラを遠望

 

大劇場
大劇場遠景

 

アルテミス像
アルテミス像

 

◎エフェス都市遺跡

 六時半に起きる。窓から見える朝のエーゲ海が素敵だ! 早速写真を撮る。レストランに食事に行く。バイキングだ! 初めてのトルコ料理だったが、結構いける。野菜がおいしい。スイカも旨かった。イスラム圏なので当然豚肉はない。そういえば機内食の肉料理に「この料理には豚肉使っていません。」 旨の表示があった。そういうところに来たと改めて実感する。

 八時半出発。まずはエフェスだ。ここはギリシア時代から繁栄した都市で、それはオスマントルコ期に衰退するまで続く。その他地母神のアルテミス信仰でも有名で、神殿は世界七不思議にも数えられていた。パウロがここで布教をみ、また後のキリスト教時代には有名なエフェス公会議が催され、キリストの神性と人性を区別することを唱えたネストリウスの追放が決まり、後のカトリック成立へ大きな影響を及ぼした。確か世界史の授業で「エフェソス」 と習った記憶があるが、最近のガイドブックは「エフェス」 と表示されているので、それに従う。旅行中、奥さん(酒飲み。私は下戸)がよく飲んでいたビールの銘柄も「エフェス」 だったので、現地ではそう呼ぶのだろう。

 車窓から風景を眺めつつ、歴史的背景にも思いを馳せながら、車は一時間ほど走る。現地到着。車を降りる。まず第一印象。「暑い!」 乾燥しているものの、強烈な太陽、且つ下は大理石の照り返し。帽子&サングラスを持ってきてよかった。体から水分がどんどん蒸発する感じがする(何せ、一リットルくらい水を飲んでも、全て汗となって蒸発するので、トイレに行きたいとも思わなかったくらいだ。)。従ってここではミネラルウオーターが必需品である。そんなわけで、あわてて水を買い、オルハンにはぐれないようにしながらゲートをくぐる。他にも観光客が多い。オルハンによれば「おそらくヨーロッパからのリゾート客だろう。」 とのこと。日本人は我々だけだった。あっちのひとはこの暑く日差しも強い中で上半身裸で真っ赤である。あれじゃあ火傷だね。大丈夫なんかいなあ?

 入り口付近は、野原に廃墟がある状態だったが、進むに連れて大理石の建築物が回りを埋めていく。最初に音楽堂に案内される。円形劇場! 初めてみる。音響がよいらしいので舞台で声を出してみたかったけど、見物人が多かったのでやめる。学生時代は綺麗なテノールだったが、さすがに四年かじっただけだし、ブランクも大きいので、客の前で唄えるほど自身はない。

 他に神殿・公衆便所・図書館・娼館等を見る。ドーリア式・イオニア式・コリント式、世界史で習ったねえ。未だによくわからんけど、どうもだんだん派手になると覚えておくとよいらしい。現物を見て何となく納得。しかし、建造物って大理石で出来ているので、もっと真っ白かと思ったら、存外そうでもないのが発見だった。それと復元や修復に、コンクリートを大胆に使っているのも日本と違っていて面白い。

 大劇場に行く。ここは何故か人が少なかった。観客席の上に行く。結構階段が急だ。おお、下の方にいる人の声が、ぼそぼそ話でもよく聞こえる。これが音響効果か! 発見発見・・・

 遺跡を堪能したら、次は博物館。取り敢えず暑いので、また水を買う。中に入ると結構こじんまりしている。ガイドの説明を聞くのは他の人に任せて、私は勝手にうろつく。ガイド泣かせなやつだ、全く。これが中国だったら、ガイドに突っ込みを入れる、更に嫌なやつになっているだろう。我ながらひどいやつだ。

 今まで余りギリシア・ヘレニズム・ローマ関連の彫刻を見る機会がなかったので、結構面白かった。「へえ、ソクラテスもあそこに住んでいたんか。しかしあんな暑いところで、よく哲学出来たなあ。」 と感心することしきり。人間安穏とした環境では、哲学や宗教などは芽生えてこないのかもしれない。ソクラテスが歩いたと同じ道を、我が足が踏みしめたんだなあと一人感動する。

 これが神殿にあったアルテミス像。昔から見たかったけど。存外小さいのね(本尊はこれより大きく、2mちょっとあるのだが、ピンぼけのため割愛した。)。ローマ皇帝の像の方が無意味に大きかった。権力者っていつでもそんなもんかなあ。

 これで都市遺跡関連はおしまい。思ったよりずっと広く、結構歩かされた。ポリスって思ったより広い。ピカチュウも結構歩数増えてたぞ。あ、トルコにまでポケットピカチュウ持ってきてるのだ。何せ普段余り歩かないので、ピカチュウが御機嫌斜めときている。今回は結構歩いたのでトルコでは御機嫌だった。ポケピカはトルコ人の興味も引いたらしく、「それなんですか?」 とあちこちで聞かれたぞ。一応「万歩計」 と表向きの答えをしておいたが・・・ 内実は説明してもわかってくれないだろう。同行の日本人はさすがに一発で「ポケピカ持ってきてるね!」 ともろばれだった・・・。世の中にポケピカは多かれど、アジアの果てまで行ったのは数少ないだろう。

 次に昼飯を食う。しゃれたリゾートホテルのレストランである。何故か生バンドが喜多郎のシルクロードを演奏する。でも下手だ! 食事はそれなりにおいしかった。ただメインの白身魚の丸焼き、醤油&箸が欲しかったぞ! 日本人だなあ、我ながら。飲み物はアイランを頼む。これはヨーグルトの水割りだ。「甘くないよ!」 とオルハンの言ったとおり、甘くない。寧ろ酸っぱい。日本の飲むヨーグルトとは大違いである。体には良さそうだが、蜂蜜なんかで割りたかったぞ!

 すっかり忘れていたが、ここではあの「聖母マリア」 様が晩年を過ごし、天に召されたところである。かって居住した場所に、今でも教会が建っている。奥さんが後から気づいて残念がっていたのは言うまでもない。理由は「満月工房」 を見てくれ。


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