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筑摩学芸文庫版(今鷹真・井波律子・小南一郎訳) この訳は、元々筑摩世界古典文学大系に所収されていたのを、文庫化に際し一部手直しをしたものです。
各巻末に『三國志』作成の動機、陳壽について等詳細な解説を載せ、更に官職表・裴松之注に引用される書物の簡単な解題を付しています。これらの付録? が非常に便利なので、是非揃えておくべき一品でしょう。
しかし、翻訳の性質上、訳者のフィルターがどうしてもかかってしまっていますので、原文は持っておいた方がいいでしょう。
※地図も『中国歴史地図集』刊行前によく使われた『中国歴代輿記沿革図』に基づいて作られていますので、今となっては少し古いかもしれません。しかしよくあの本から、これだけきれいな地図を書き起こせたのか? ちょっと不思議です。
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平凡社版(中国古典文学大系 『漢書』『後漢書』『三國志』列伝選) 『史記』以外の古代を扱った正史から、列伝の一部分を訳した物です。『三國志』は結構有名人を採り上げていますが、残りの二つは、やたらと儒学関連の人物に偏った人選をしています。
『三國志』ものが読みたい人には、少し不満が残るかもしれません。
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徳間版(正史『三國志』英傑伝) 『三国志』の抄訳です。採り上げた物について、漢文・訓読・訳&説明を載せ、読者の便を爲さしめています。
全訳は筑摩のを見れば良いとして、説明が載っているのは良い点でしょう。まあ、これを少ないとはいえ全カ所に亘って付けていたら、何時になっても終わりませんからね・・・
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明徳古典新書版 宮川尚志著 1970 中国古典を幅広く紹介する、明徳古典新書の一冊です。
スペースの都合上、多くの人物について載せていませんが、我々がよく知っている曹丕・劉備・劉禅・孫權の皇帝はもとより、曹操・諸葛亮・関羽等の有名人は解説と共に記されています。
このシリーズは、採り上げた書物についての解説が充実している点に特徴があります。本書も例外ではなく、その点は充実していますが、特に白眉とも言える点は、『三国志』各巻の内容を1〜2行で簡潔に紹介している点です。これさえ読めば、膨大な『三国志』の全訳を読まなくても、採り上げられている人物についての印象を得ることが出来ると思います。
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